日本の伝統技法の藍染め「天然灰汁発酵建て」が一度途絶えてしまっていたことはご存じだろうか? これを信念をもって復活させた中西良一先生に、貴重なお話しを伺いました。(PRTIMES)
「いいか栄一、藍の葉は手間暇かけた分だけいい青が出せるんだ。手ぬくやつは、その青はだせねぇ」(NHK大河ドラマ「青天を衝け」より引用)これは2021年2月14日から放送中の大河ドラマ「青天を衝け」のワンシーン。主人公の渋沢栄一氏生家での過酷ともいえる藍玉作りが印象に残っている人もいるのではないでしょうか? 時期同じくして、オリンピック競技大会の東京2020エンブレムとして日本の伝統色である藍色が採用されるなど、昨今、藍や藍染めへの注目度が高まっています。ところで、昔から続く天然藍染めが一時期完全に途絶えてしまっていたことをご存じでしょうか? 今回は「阿波藍」の復活に多大なる貢献をされた中西良一先生に、たんす屋「復活祭」(6月11日(金)~13日(土)産業貿易センター松町館で開催)でのトークショーに先駆けてのお話を伺いました。
■出会いと試行錯誤と信念が奇跡を生んだ
──中西先生、よろしくお願いいたします
よろしくお願いたします。
──早速ですが藍染めのルーツを教えていだだけますでしょうか
藍は、アジア、中国を経由して日本に入ってきたようです。もとは漢方薬としての利用でしたが、栽培する中で「きれいな青色が出る」ことが発見されました。初期は葉を揉み出してできた液に漬ける藍の生葉染め(なまはぞめ)が行われていた形跡があります。飛鳥時代には養蚕や発酵の技術が普及し、江戸時代中期になると染色家 犬伏久助(いぬぶしきゅうすけ)が「天然灰汁発酵建て」(てんねんあくはっこうだて)という技法を開発して、これが現在の阿波藍の基礎となっています。
――中西先生はどのように藍に関わってこられたのですか
1950年代に京都室町の繊維問屋で呉服の勉強をしたのち、呉服製造業を行っておりました。この時代に、一般に使われていたのは合成染料です。ただ原料の苛性ソーダなどが皮膚によくないとされていて、炎症の原因ともいわれていました。そこで健康に良い<草木染>に着手することを思い立ったんですね。
天然染料の産地として、徳島の藍染め、秋田県の紫根染め、山形県の紅花染め、九州のウコン染め、などを巡って体験する中、藍が第二次世界大戦後途絶えていることに着目しました。途絶えていた理由ですが、戦時中は食料増産のため藍が禁止作物になっていたんです。そこで藍の復活を目指す決心をしました。
その手掛かりとして徳島で600年続いている佐藤阿波藍製造所19代目の藍師であり、阿波藍製造技術無形文化財でもある佐藤昭人先生をお訪ねしました。藍畑の復活に一番大事なもの、それは原材料となるタデ藍の<種>です。これについては佐藤先生の親戚筋となる岩田ツヤ子さんが「日本人の健康を守ってきた藍がなくなるはずない」と、戦時中憲兵隊の目を逃れて山中で毎年一年草の種を採取して残してくれており、それで確保できました。
また、藍染めは染料を作る藍師だけでなく、実際に染める「藍染師」の存在が必須です。そこで、佐藤昭人先生とご子息である好昭(よしあき)氏とともに藍染師の竹内昭子さんをお訪ねしました。当初は、竹内さんの工房でも失敗が続きましたが「どうしても藍を復活させたい」という信念で取り組み、1年後にようやく絹の藍染め液が完成しました。
乾燥した「すくも」と藍甕
──藍染めは、それほど難しいものなのですか藍は染料ではなく顔料なんです。植物由来の綿などは藍が付着しやすいんですが、絹は動物由来ですからなかなか付着しません。試行錯誤の末、それには灰汁(あく)や甕(かめ)の管理が大事だということがわかりました。甕は365日ずっと一定の温度を維持していく必要があって、それはいったん冷めたら色落ちするぐらい繊細なものです。要するに、藍の液というものは<生き物>なんですね。こうした問題を解決したことで、やっと「絹も江戸時代同様に染まります」と言えるようになりました。その後は、北海道から沖縄まで展示会をしながら振興普及に努めてまいりました。
──現在、天然藍は全体のどれくらいの割合なんですか
天然藍の世界はわずか5%で、95%が化学の手を加えた藍染めの世界になります。
明治8年までは天然藍の世界でした。天然藍では、土作りから始まり、種を蒔いて、育てて、刈り取る農作業が8月まで続きます。そして9月の大安からは100日間、4日ごとに地下水を汲み上げて水分を葉に含ますことで発酵を促します。70度に達したら次は五感の世界。嗅覚や触覚で発酵の具合を常に確かめながら精魂込めて「すくも」という藍玉の元をこしらえます。このように天然藍とは途方もない労力の結晶なんです。
一方で、鎖国が解けて貿易が始まったとき、諸外国からさまざまな薬品が日本に輸入されてきました。その中に1880年にドイツの科学者バイヤー氏が作った、石炭からタールに合成した合成藍「インディゴピュア」の粉末がありました。これを使えば、短時間で青の染料を作ることができますし定着液に漬けるだけで終わります。それが一気に広まり、形を変えつつも現在に至ります。
──最近の状況はどうですか
「天然灰汁発酵建て」に携わっている方は現在は、全国で14名ぐらいです。
──それは少ない…
それゆえ天然藍は大変貴重なものになりますが、日本の心、ジャパンブルーを絶やすことなく守っていきたいと思っています。
──ありがとうございました。
(続きは次のトークショーでご堪能ください)
■たんす屋「復活祭」にて中西先生のトークショー開催
リユース着物のパイニア「たんす屋」が、6月11(金)~13日(日)の3日間、産業貿易センター浜松町館で「復活祭」という<着物>展示販売の無料イベントを開催。こちらで、中西良一先生のトークショーが予定されています。先生は、このような場に出演されることがほとんどない方で、とても貴重な機会となります。また実物の製品も展示・販売されています。日本の伝統文化「藍染め」に興味のある方はぜひご参加ください。
<中西良一先生トークショー 世界に誇れるジャパンブルー「藍染め物語」>
・2021年6月11日(金)①13:15~、②16:15~
・2021年6月12日(土)①10:15~、②13:15~、③16:15~
・2021年6月13日(日)①10:15~、②13:15~、③16:15~
<ご来場予約ページ>
https://go.kimonoyasan.co.jp/l/688703/2021-04-20/6c1n6
中西良一[Nakanishi Ryouichi]
1936年 京都に生まれる
1954年 京都室町繊維問屋に入社
1965年 友人と呉服製造会社設立
1980年 三大天然染料(藍・紅花・紫根)の復活に着目する。
その中でも戦後途絶えてしまっている絹糸による藍の復活を目指し、19代目 阿波藍製造者 佐藤昭人氏を訪ねる
同年 佐藤昭人氏、20代目好昭氏と共に藍染作家 竹内昭子氏を訪ねる
1981年 天然灰汁醗酵建本藍染の絹製品開発に成功
1986年 天然灰汁醗酵建本藍染に特化した製造会社設立
: 日本中に24名の天然灰汁醗酵建本藍染に特化する職人を佐藤氏と共に指導し、藍染の復興を行う
2015年 息子の営む染色工房 本藍染雅織工房 を手伝う
- たんす屋「復活祭」情報
https://tansuya.jp/lp/fukkatsu_2021/
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感染症防止の為、会場が混み合う場合は、事前予約のお客様からご入場頂く場合がございます。
入場制限を行う場合もございますので、できるだけご予約くださる様、お願い申し上げます。
<ご来場予約ページ>
https://go.kimonoyasan.co.jp/l/688703/2021-04-20/6c1n6
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<日時>
・2021年6月11日(金)13:00~19:00(受付18:00まで)※初日は13:00~の開始です
・2021年6月12日(土)10:00~19:00(受付18:00まで)
・2021年6月13日(日)10:00~18:00(受付17:00まで)※最終日は~17:00で終了です
<会場>
産業貿易センター松町館2F南半分
<アクセス>
・JR浜松町駅(北口)から徒歩5分
・ゆりかもめ竹芝駅(西口出口)から徒歩2分
・都営浅草線・都営大江戸線大門駅(B2出口)から徒歩7分
・東京モノレール浜松町駅(北口)から徒歩5分
<ご来場予約ページ>
https://go.kimonoyasan.co.jp/l/688703/2021-04-20/6c1n6
<事前問い合わせ>
たんす屋株式会社
TEL:0120-529-115(月~金:10:00~18:00)
- たんす屋について
1999年からリユース着物の買取・販売のパイオニアとして全国で実店舗を展開し、多くのファンに支えられているリユース着物の大手ブランドです。2020年にまるやま・京彩グループの仲間入り(100%子会社)をして、新体制でスタートしています。
Twitter(@たんす屋official) https://twitter.com/tansuya20160701/
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<たんす屋 オンラインストアについて>
「たんす屋」の豊富な在庫からチョイスしたリユース着物が、いつでもどこでもお気軽に低価格で購入していただけるオンラインショップです。
たんす屋 オンラインストア https://tansuya.jp/
<たんす屋はお着物の買取をしております>
不要になったお着物、たんすの奥で眠っているお着物、等がございましたら「たんす屋」の買取サービスをご活用ください。詳しくは下記URLをご覧ください。
たんす屋公式サイトの買取ページ https://tansuya.jp/kimono-kaitori/
- 会社案内
【たんす屋株式会社】
所在地: 〒134-0086 東京都江戸川区臨海町3-6-4 ヒューリック葛西臨海ビル5階
代表者: 丸山 伸一
代表電話: 03-5676-5291(月~金/10:00~17:00 土・日・祝日休み)
公式サイト: https://tansuya.jp/
メールアドレス: info@tansuya.co.jp
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